家族と共に詠んだ歌



次に述べる歌は私または私の家族が詠んだ歌を述べたものです。皆様どうぞご鑑賞ください。歌の一部は 『日本歴史ロマン』(S1)『日本書紀と古史古伝(S2)』 にも掲載してあります。ぜひお読みください。

支笏湖に 舟を浮かべて 君と乗り 語りし時も 遠き思い出
(しこつこに ふねをうかべて きみとのり かたりしときも とおきおもいで)
(この歌は私が北海道の支笏湖に行った時、同行した数人のユースホステラと支笏湖にボートを浮かべて湖上をさまよった時の様子を詠んだ歌です)

酒避けて 飲まずに済ます 事故も無し 我々好だめ ワイン避けよう 
(さけさけて のまずにすます じこもなし ウイスキーだめ ワインさけよう)
(皆様、酒は酔います。ぜひ酒酔う→避けようです。これは掛詞(かけことば)。ワインは酒の一種で私の方言。ウイスキーというのは「我々は好き」という意味ですが、駄目ですよ。強いですからね。ぜひワインも避けようです。ブランデーでブラン・ブラン、これはもっと危険! 何事も禁酒禁煙・健康一番・料理酒二番ですよ。料理酒はうまいですね。ウイスキーやブランデーも料理酒として使いましょう。魚の切り身の煮つけやテリヤキに使って味わうと又一味違いますよ。)

酒避けて 煙草も吸わず 病無し 健康生きて すばらしきかな
(さけさけて たばこもすわず やまひなし けんこういきて すばらしきかな)

小豆粥(あずきがゆ) おいしく食べて 来年も 詠いあくる日 母は去り行く
(この歌は上の句と下の句に分かれ、上の句が母が亡くなる前の日に小豆粥を作って私に御馳走した様子を歌った母の歌で、下の句は私が後で補って詠んだものです。母は小豆粥を作って私にご馳走し、翌日他界しました)

明日のこと 分からぬほどに 年重ね
(いつ死んでもおかしくない年齢に来て、もう明日が分からなくなった心境の時の悟りの歌)

胸に秘め 遠き旅立ち  母悲し
(「長年連れそった子と別れて遠い死の世界へ旅立つ時に、人は思いを胸に秘めて去っていくものである」という思いを込めた歌)

つらくても 強く生きてと 母祈る
(「おかあさんが死んだらつらいだろうけど、それに負けず強く生きてね」という願いを込めた歌)


(これら三つの歌は母の辞世の歌です。私の母は平成九年一月十六日(閻魔詣で・阪神大震災記念日の真夜中)に七十五歳で亡くなりました。原因は入浴中の突然死(虚血性心疾患)でした。これらの歌は母が、晩年、もう自分はいつ死んでも不思議のない年齢に来たので、前もって私に託す形で詠んだ歌です。母は用意のいい母であったと云うことです。これらの歌は特に私と云うわけではなく、母親ならみな子供に対していつも心に持っている思いみたいなものであるとこれらの歌を聞いた人が言っていましたので、そういうものだなと思っています。本当に今の世の中、平和に見えても、誰も明日どうなるか分かりません。これらは何も母のような年齢になったからいえると云うことではないと思います。人間は皆こういうものであるからたとえ、どんなにつらくても、人生の中に潜んでいる様々の困難・悩みなどに負けてはいけないと云う教訓みたいなものであると云うことをこれらの歌は教えているわけです。皆様、日々の行動に気をつけてがんばって悔いのない人生を生きて下さい。)

二人して 互いに語りし あの頃も もはや帰らじ 神と悲しむ
 (母が生きている当時はいつしかの成功を祈って母と語り合いました。もう母はいませんから、懐かしい時代は戻りません。今は亡くなった母の冥福を神に祈るだけです)

母が死に 戸棚で見つけた ナポレオン 神棚飾り 亡き母偲ぶ
(母が死んだ時、戸棚を開けたら母が生前、疲労回復のために紅茶に入れて愛飲していたナポレオンが遺っていました。私が母にプレゼントしたものかもしれませんが、飲む人がもういないので、神棚に飾って亡き母を偲び、後で料理酒に使いました。)

余りにも 急な旅立ち 我悲(われかな)し 遠き来世で なお見守りて
 (母はそんな私の前から、突然死という形で私の身を最も心配しながら、姿を消しました。遠い来世に行ってしまってもう会うことはできません。でも今後もどこかできっと私の身を案じて見守ってくれることを祈ります。告別式で母の歌を形見に持って帰る人もいました)

母が死に しみじみ悟る ありがたみ
 (母が死んで、しみじみ悟ります。そのありがたさを生きている時はなかなか気づかぬものです)

苦労かけ 子の身を 案じ逝った母 もはや祝えぬ 正月は祥月(しょうつき)
 (私の両親はともに正月に亡くなりました。正月は「しょうつき」とも読めます。その読みどおり字を変えて両親の祥月。 母には特に私の身を案じながら、心残りで逝かせた気がします)

生かされて われすこやかに さわやかに 柱に残る 母のみ教え
 (母は『生かされてすこやかにさわやかに』『健康は富に優る』『生きるも死ぬも煩いなし』『わが身人の身みな同じ』『健康は一生の宝』などの標語を柱や壁に張って日々の安寧を祈りました)

辞世歌(じせいうた) 子供に告げて 人知れず 翌年春に 母は死に行く
(老齢の母はいつ死んでもいいように辞世の歌を子供に告げて翌年春に人知れず他界しました)

過ぎ去りし 日々を思いて やるせなく 春を待たずに 逝きし父・母
流れ行く 時のはざまに 埋もれし 昔を今に いかに語らむ
変わり行く 街の姿を 見るごとに 重ねし年を 数えとまどう
言の葉を(ことのはを) 尽くせど尽きぬ 胸のうち 戻らぬ人に 語りかけても
(これらは私の姉が過ぎ去りし昔を偲んで詠んだ歌です)

どうですか。皆様、いかがでしたか。歌に関する感想や自作の歌(テーマは歴史)も募集しています。